プシケの庭

心を癒し、真に自分らしくあるための、セルフ・アウェアネス覚書

簡単に発達障害 (特にアスペルガー) と決めつけてはいけない理由

現在よく聞く病名に発達障害アスペルガー症候群があります。

このような障害を持つ方々は、もちろん実際におられます。私のクライアントさんでもいらっしゃいました。

でも、近年の日本の一般的な風潮として、何か少しでも人間関係、コミュニケーションに支障があったりすると、すぐ「あの人はアスパーガーなのでは」と考えるのはどうでしょうか。

これは日本だけの傾向で、アメリカではほとんどこの病名を聞くことがありません。

発達障害は、生まれつきの障害です。子供の頃からはっきりとした支障が家庭や学校で観察され、生まれつきというからには、完全に解消できるものではなく、うまく管理していくことが求められます。私のクライアントだった方も、非常に苦労していらっしゃいました。

しかし、一般の人があまり理解していないのは、症状を表面的に見て、すぐ発達障害と診断してはいけないということです。

なぜなら、同じような症状でも、家庭環境に問題があり、健康的なコミュニケーションの仕方を子供が学べなかったのが要因ということもよくあります。

また、トラウマで、対人関係に支障が出たり、うつで人に共感をうまく示せなかったりなど、様々な心理的な理由で発達障害の症状に似た症状がでることがあります。

病名を確定する前に、これらのことを細かく見て、他の病名の可能性を見ていくことを鑑別診断と言います。私がセラピストとして教育を受けている時も、厳しく訓練されたことの1つです。

発達障害である、ということは、その人の症状が基本的に治ることはないということです。

私はこれは大変重いことと思います。

なぜなら、多くの心の問題は解消可能だからです。

それを固定され、一生そのままであるかのように考えるのは、その人の人生における可能性を奪うものと考えるからです。

例えば妻が、夫がアスペルガーと思い込んでどうやって対処したらいいか悩んでいる。しかし、実際に夫である方にお会いしてみると、かなり虐待に近いことを子供時代に経験し、そのため心をすぐに閉ざす傾向があることがわかる。なぜなら、虐待された子供は他人に自分の気持ちを話してもしょうがないと思うからです。つまり、解決策は、アスペルガーの夫にどう対処するか、ではなく、ご主人がセラピーでトラウマを解決していくことが、夫婦関係・コミュニケーション改善につながる、ということです。

生まれつきの障害やもともとの性格、という見方だけでなく、トラウマや家庭環境といった要因を視野に入れると、解決の糸口が非常にはっきりしてきます。

 

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