前回、親との関係は私たちの心の状態に大きな影響を与えている、ということを書きました。
本当に、いろいろな影響があります。
一般的なこととして、親からサポートを受けて育つと安心感を感じやすいことが多いです。
幼少期に「どれだけ守られている感覚があったか」が、大人になってからの精神状態にかなり影響します。
その人の「強さ」と言われているもののうちには、環境によって得られたものも多いです。そして、その環境は、多くの場合親が作った世界です。
「一番傷ついていたあの時、親の理解を得られなかった」などという経験は、その人の傷をさらに深くし、未来への希望にも影響を与えかねません。また、人というのは冷たいのだな、という厭世的な考えに傾くこともあるでしょう。
年齢が若ければ若いほど、その影響は大きくなります。なぜなら、その人の支えはまだ社会になく、親以外にないからです。
ただ、子供の必要な感情サポートをすべて完璧にできる親というのもあまりいないです。
ですから、多かれ少なかれ、私たちは何らかのトラウマや心の傷、寂しさや困難を抱えた時があったとも考えられます。
決して稀なことではありません。
たとえ基本的には、いいお母さんやお父さんだったとしても。
そしてここでの着眼点は、心の因果関係です。
過去のどのようなことがどのように影響し、現在の自分の感じ方、考え方を作っているか。
親が悪い、親を責めなさい、というのが目的ではありません。
もちろん責めたくなるような気持ちがあるなら、それもOKです。
でもまずは自分の心の理解が大切です。
なぜなら、心の因果関係がわかってくると、それだけでも楽になったり、自分が異常なのかと思っていたことがそうでないとわかったり、いろいろメリットがあるのです。
また、知っておいてほしいことは、人の心には治癒力があるということです。
親が間違ったことをしたら子供の人生は終わり、ではありません。
ただ、その治癒力を引き出していかないと、解決の糸口が見えにくくなってしまいます。